固有名詞・数字・業界用語に注意!AI字幕・AI翻訳を安全に公開する方法

AIによる字幕生成と翻訳は、多言語版を作る作業を劇的に楽にしました。以前は文字起こしと翻訳を人が全部やっていた工程が、数分で下訳まで進みます。

ただし、そのまま公開できるものではありません。AI字幕は下訳として優秀ですが、誤りが残る場所には特徴があります。

この記事では、精度が落ちる条件、人が重点的に見るべき3か所、進め方と費用の考え方を整理します。

AI字幕はどこまで実用的なのか?

日本語の文字起こしと、主要言語への翻訳は下訳として実務で使える水準にあります。話している内容をおおむね正しく拾い、文の区切りも自然に入ります。

とくに次の条件がそろうと精度が上がります。

  • 1人が話していて、話者の切り替わりが少ない
  • ノイズが少なく、マイクが口元に近い
  • 原稿を読んでいる、または内容が整理されている
  • 専門用語が少なく、一般的な言葉が中心

逆に、精度が落ちるのは次の場合です。

  • 複数人が同時に話している(座談会、インタビューの相槌)
  • 屋外や工場など、背景音が大きい
  • 業界特有の言い回しや略語が多い
  • 話が飛ぶ、言い直しが多い

採用動画の社員インタビューは、この「精度が落ちる」側に入りやすい点に注意してください。自然な会話は言い直しや相槌が多く、AIが拾いきれません。AIをどの工程に使えるかの全体像はAI動画制作で任せていい工程・ダメな工程で整理しています。

人が重点的に見るべき3か所は?

次の3か所は必ず人が重点的に見てください。

1つ目は固有名詞です。 社名、製品名、人名、地名。AIは文脈から推測するため、似た音の一般名詞に置き換えられることがあります。自社の製品名が別の単語になっている字幕は、それだけで内容の信頼を落とします。読み仮名や表記の一覧を先に渡せば、精度が上がります。

2つ目は数字と単位です。 「11(じゅういち)」が「17(じゅうしち)」になる、「万」が抜ける、通貨や単位が省略される。金額や期間の誤りは、そのまま誤解を招きます。とくに翻訳では、単位の換算まで踏み込んで誤ることがあります。数字が出てくる箇所は、映像を見ながら1つずつ突き合わせてください。

3つ目は業界用語と社内用語です。 業界では通る略語が、一般的な意味に訳されてしまいます。日本語のままでも意味が通らない字幕になっていることがあり、そのまま多言語に流すと誤りが二重になります。

この3つに共通するのは、AIが「もっともらしい別の言葉」に置き換えてしまうという点です。明らかに文字化けしていれば気づけますが、日本語として自然に読めてしまうため見落とされます。だからこそ、全文を漫然と読み直すより、この3か所を狙って見るほうが確実です。

重点的に見る箇所起きやすい誤り事前にできる対策
固有名詞似た音の一般名詞に置き換わる社名・製品名の表記一覧を渡す
数字・単位桁の誤り、単位の欠落数字が出る箇所を一覧にしておく
業界用語・略語一般的な意味に訳される用語と定訳の対応表をつくる

進め方はどうすればいい?

多言語版をつくるときは、次の順で進めると手戻りが減ります。

  1. 日本語の字幕を先に確定させる:翻訳は日本語字幕を元にします。日本語が固まる前に翻訳を始めると、修正が言語の数だけ発生します。
  2. 表記の一覧を先に用意する:社名、製品名、人名、業界用語と、その定訳。この1枚があるかどうかで、修正の量が変わります。
  3. AIで下訳をつくる:ここは自動で進めます。全文を人が訳す必要はありません。
  4. 上の3か所を人が重点的に確認する:固有名詞、数字と単位、業界用語などを重点的に確認します。
  5. その言語が読める人に確認してもらう:可能であれば、その言語が読める人にざっと見てもらいます。文法よりも「不自然な言い回しがないか」を見てもらう目的です。

5番目を省くかどうかは、公開範囲で判断してください。 社内向けの資料なら省いても実害は小さいですが、海外の顧客に向けた広告として出すなら、その言語を読める人の目を1度は通したほうが安全です。

費用と使いどころの考え方は?

字幕だけの多言語化は、費用は大きく増えません。 もとの動画があれば、翻訳と字幕を入れ込む作業が加わるだけです。編集のみの範囲で収まることが多く、言語を増やす追加費用も緩やかです。

一方、費用が増えるのは次の場合です。

  • ナレーションを言語ごとに差し替える:音声の生成または収録が言語の数だけ必要になります
  • 画面内のテロップを言語別に作り直す:映像に入れ込んだ文字は、言語ごとに編集し直します
  • 尺が変わる:言語によって文の長さが変わるため、字幕が読み切れず尺の調整が必要になることがあります

これを踏まえると、最初から多言語展開を考えている動画は、画面内に文字を入れ込まない設計にしておくのが有利です。説明は字幕に寄せ、映像側は文字を最小限にする。この設計にしておけば、言語を追加するときの作業が字幕の差し替えだけで済みます。

AIナレーションを併用する場合の向き不向きはAIナレーションが不自然に聞こえる3つの場面で整理しています。

まとめ

AI字幕・翻訳は下訳として実用段階にありますが、そのまま公開するものではありません。人が重点的に確認すべき箇所は、固有名詞、数字と単位、業界用語の3か所です。日本語字幕を先に確定させ、表記の一覧を用意してからAIに下訳させる順番にすると、手戻りがほとんど出ません。多言語展開を見込む動画は、画面内に文字を入れ込まない設計にしておいてください。

ムービルドは実写・アニメーションの両方に対応しています。多言語展開を前提とする場合は、画面内の文字を最小限にして字幕に寄せる構成をご提案できます。1,000人以上のクリエイターコミュニティと連携しているため、撮影が必要な場合も撮影地の近くのメンバーが対応できます。窓口はディレクター1名に一本化しているため、お客様がカメラマン・編集者のそれぞれとやり取りする必要はありません。費用の最低料金は撮影のみで5万円〜、編集のみで10万円〜、撮影&編集で15万円〜です。

どの言語まで用意すべきか、字幕とナレーションのどちらにすべきかは用途で変わります。無料相談で公開先をうかがったうえでご提案します。

よくある質問

AI字幕はそのまま公開できますか?

下訳としては使えますが、そのままの公開は避けたほうが安全です。固有名詞、業界用語、数字と単位の3か所は誤りが残りやすく、しかも誤ると意味が変わります。この3点だけでも人が確認すれば、公開できる水準に近づきます。

AI翻訳の精度はどの言語でも同じですか?

言語によって差があります。英語・中国語・韓国語のように日本語との翻訳事例が多い言語は精度が高く、話者の少ない言語は精度が落ちます。加えて、専門性の高い内容や口語の多い内容は、どの言語でも精度が下がります。

多言語版をつくると費用はどのくらい増えますか?

字幕だけなら大きくは増えません。もとの動画があれば、翻訳と字幕を入れ込む作業が加わるだけです。一方、ナレーションを言語ごとに差し替える場合や、画面内のテロップを言語別に作り直す場合は、その分の編集費が加わります。

動画制作のご相談は無料です。目的や予算をうかがい、最適な進め方をご提案します。

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監修:立石勝輝(ネクティ株式会社代表)

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