会社紹介動画の撮影は、人ではなく「場所と物」の準備で決まります。
採用動画なら、出演する社員が自然に話せるかどうかが仕上がりを左右します。会社紹介動画は違います。オフィス、工場、店舗、設備、製品。カメラが向くのは主に場所と物で、そこに何が置かれているか、何が写り込んでいるかが、そのまま画面の印象になります。
当日に慌てるのは、たいてい片付けと許可です。どちらも前日までに済ませられるのに、当日まで気づかれないまま進みます。この記事では、用意するもの、片付けの範囲、許可を取る先、進行表の組み方を、実務の順に整理します。
会社紹介動画の撮影当日、何を用意する?
用意するものは、次の5つに集約されます。
| 用意するもの | 具体的に | いつまでに |
|---|---|---|
| 撮影場所 | 片付け、写り込みの整理、照明の確認 | 前日まで |
| 電源と場所の確保 | コンセント、機材の置き場、控えの部屋 | 前日まで |
| 立ち会う担当者 | 判断ができる人が1名、常時同行 | 当日 |
| 出演者と服装 | 出る人、着るもの、髪型 | 前日まで |
| 進行表 | 何を何時にどこで撮るか | 前日まで |
もっとも重要なのは、3番目の「判断ができる担当者」です。 撮影中は「この棚も映していいか」「この書類は隠すべきか」といった判断が次々と出ます。その場で決められる人がいないと、確認待ちで撮影が止まります。1日撮影の現場では、この待ち時間が積み上がって撮り切れなくなることがあります。
出演者がいる場合は、服装も前日までに決めてください。細かい柄のシャツはカメラで見ると模様がちらつくことがあり、真っ白の服は明るく飛びやすくなります。無地で中間の明るさの服が扱いやすい、とお伝えしています。
出演する社員の緊張をどう和らげるかは、採用動画の撮影当日、出演する社員が緊張しないための進め方で詳しく扱っています。
撮影場所はどこまで片付ける?
カメラに入る範囲だけで十分です。 全体を片付ける必要はありません。
ただし、次の4つは必ず確認してください。後から気づくと、その場面ごと使えなくなります。
- 机の上の書類:顧客名、金額、個人名が読める状態になっていないか
- モニターの画面:メールの一覧、顧客管理の画面、チャットの通知
- 壁の掲示物:営業成績表、社員の個人情報、他社のロゴが入ったポスター
- 私物:飲みかけのカップ、上着、カバン、机まわりの小物
判断に迷うものは、いったん外に出すのが早いです。 「映っていても問題ないか」を1つずつ検討するより、視界から外してしまうほうが時間がかかりません。
そのうえで、画面が良くなる片付け方があります。単に物を減らすのではなく、次の点を意識してください。
- 奥行きが出る場所を空ける:手前に物がなく、奥まで見通せる方向にカメラを置きます
- 色の数を減らす:雑多な色が並ぶと画面が散らかって見えます
- 観葉植物や小物を1つ足す:がらんとした空間より、生活感が少しあるほうが印象がやわらぎます
- 照明を確認する:昼間に窓を背にすると人物が暗くなります。撮影の時間帯を先に決めてください
窓の位置と時間帯は、前日までに現場を一度歩いて確認してください。 午前と午後で光の入り方が変わるため、撮る順番が変わることがあります。
撮影の許可はどこに取る?
自社の建物であっても、確認が必要な場合があります。 前日までに次を確認してください。
- 貸しビル・テナントの場合:管理会社への事前連絡が必要か。共用部(エントランス、廊下、外観)を撮ってよいか
- 機材の搬入:台車の使用、エレベーターの利用時間、荷捌き場の場所
- 駐車:機材車を停める場所があるか。なければ近隣の駐車場を先に押さえます
- 屋外の撮影:道路や公開空地で三脚を立てる場合、管理者や自治体への確認が必要になることがあります
- 他社が写り込む場所:隣接するテナントの看板、通行人
従業員が映る場合は、本人への説明と同意を当日までに済ませてください。 どこで使う動画か、いつまで公開するか、退職後も使う可能性があるか。ここを曖昧にしたまま撮ると、公開後や退職時にやり直しが必要になることがあります。
同様に、取引先の名前・ロゴ・製品が映る場合も、事前の確認が要ります。商談の場面や納品物を撮るときは見落としやすい部分です。
なお、屋外や公共の場所での撮影の可否は、場所と方法によって扱いが変わります。判断に迷う場合は、管理者や自治体の窓口に直接ご確認ください。
当日の進行はどう組む?
光の条件が厳しい場所から先に撮る、が基本です。屋外や窓際は時間帯で条件が変わるため、後回しにすると撮り直せません。
1日撮影の場合の進行の目安は次のとおりです。
- 到着・機材の設置(30〜60分):この間に、担当者と当日の流れを最終確認します
- 屋外・外観(午前):光がある時間に済ませます
- オフィス・作業風景(午前〜昼):人が動いている時間帯のほうが自然に撮れます
- インタビュー(昼過ぎ):出演者が場に慣れた頃に撮ります
- 設備・製品などの細かいカット(午後):時間が余りやすい部分なので後半に置きます
- 予備の時間(60分):必ず取ってください。押した分をここで吸収します
予備の時間を取らない進行表は、ほぼ必ず押します。 想定より時間がかかるのは、たいてい人の移動と、判断待ちです。
よくある失敗は?
もっとも多いのは、「撮ってから考える」で当日を迎えることです。
何を撮るかが決まっていないと、現場では「とりあえず全部撮る」ことになります。素材は増えますが、編集の段階で使える画が足りない、という事態が起きます。必要なカットの一覧を、前日までに制作側と共有してください。
そのほか、次の点にも注意してください。
- 音を確認していない:空調、コピー機、外の工事。インタビューは音がすべてです。静かな部屋を1つ確保してください
- 人がまばら:閑散とした時間帯に撮ると、活気がない画になります。人が動いている時間を選びます
- 服装がばらばら:出演者が複数いる場合、事前に方向性を揃えます
- 1日で撮り切ろうとしすぎる:拠点が複数ある場合、無理に1日にまとめると移動だけで時間が消えます
- 決裁者が構成を見ていない:撮影後に構成が変わると、撮り直しになります。構成は撮影前に決裁者の確認を通してください
構成そのものの作り方は会社紹介動画が響かない原因は尺と構成で解説しています。
まとめ
会社紹介動画の撮影は、場所と物の準備で仕上がりが決まります。当日までに用意するのは、撮影場所の片付け、電源と機材の置き場、判断ができる担当者、出演者と服装、進行表の5つです。片付けはカメラに入る範囲だけで十分ですが、机の上の書類、モニターの画面、壁の掲示物、私物の4点は必ず確認してください。許可は、貸しビルの管理会社、機材の搬入と駐車、屋外の撮影、従業員と取引先の写り込みについて前日までに確認します。進行は光の条件が厳しい場所から組み、予備の時間を60分取ってください。
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